コタローです。
最低賃金の引き上げが、10月から順に始まっています。
2026年度の改定は、9月1日の時点で45の都道府県が答申を終えました。
その時点では、目安どおりなら全国の加重平均は1,176円と言われていました。
最終的には1,177円で決まり、前の年より56円のアップになりました。
東京都は1,280円。
答申の段階では、宮城県と鳥取県が60円上がって、上げ幅としては全国でいちばん大きいとされていました。
発効日は都道府県ごとに違い、10月1日から12月にかけて順に切り替わっていきます。
ニュースでは「過去最高水準」と紹介されていました。
「収入が増える」ニュースを、僕は素直に喜べませんでした
賃金が上がるのは、いいことです。
そこは間違いないと思います。
ただ、借金を抱えて走っていた頃の僕は、この手のニュースを見ても、心のどこかが冷たいままでした。
なぜかというと、増えた分の行き先が、もう決まっていたからです。
僕は建築の下請けで、個人事業をやっていました。
年商は2000万円ほど。
数字だけ見れば、それなりに回っているように見えます。
でも、毎月の返済が100万円を超えていました。
12社、合わせて約4000万円です。
売上が伸びた月も、うれしいというより「これで今月の引き落としは越えられる」という安堵でした。
増えた分は、僕の手元に一円も残らなかったんです。
入口を広げても、出口が塞がっていれば同じでした
いまふり返ると、僕はずっと「入口」の話ばかりしていました。
もっと仕事を取れば。
もっと単価を上げれば。
もっと働けば、返せるはずだ。
そう思って、朝から晩まで動いていました。
保険は解約しました。
貯金も崩しました。
給付金も、子ども手当も、返済に回しました。
それでも追いつきませんでした。
当たり前です。
出ていく量のほうが、入ってくる量より多かったんですから。
バケツの底に穴が空いているのに、蛇口をひねる速さを競っていたようなものです。
「もっと働けば返せる」という考え方は、いちばん真面目な人を壊します。
僕は本当に、それで壊れかけました。
2017年の暮れに、数ヶ月先の資金ショートが確定しました。
完全に、詰みました。
手取りが十数万円になった日のこと
その後、僕は事業をたたみました。
契約社員として、雇われる側に戻りました。
年商2000万円の商売をしていた人間が、給与明細を見て「ああ、これが今月の全部か」と思う側に戻ったわけです。
正直、しんどかったです。
でも意外なことに、あの頃のほうが夜は眠れました。
金額が小さくても、「これは自分と家族が使っていいお金だ」と思えたからです。
返済のためだけに存在するお金と、暮らすためのお金は、同じ一万円でも重さがまったく違います。
時給が上がる話より先に、見てほしいこと
だから、最低賃金のニュースを見て「よし、これで少し多く返せる」と考えている人がいたら、僕は少しだけ立ち止まってほしいと思うんです。
上がった56円は、生活のほうに残りますか。
それとも、引き落としの日に消えますか。
もし全部消えるなら、来年もっと上がっても、たぶん同じです。
金額の問題ではなくて、構造の問題だからです。
僕がその構造から抜けられたのは、自力でもっと稼げるようになったからではありません。
崖っぷちだった2018年、あるコンサルタントに言われたひと言がきっかけでした。
「今すぐ、返すのをやめてください」
その場で、僕はサポートを受けると決めました。
そして2018年の春から、僕は一円も返していません。
任意整理も、自己破産もしていません。
8年目のいまは、時効の援用を始めているところです。
時効は最短でも5年で、しかも自動では消えないと言われています。
援用して初めて効くものなので、ここは僕も慎重にやっています。
同じ場所にいる人へ
働いても働いても暮らしが良くならないとき、人はまず自分を責めます。
僕もそうでした。
甘い、努力が足りない、経営者失格だ、と。
でも、時給が56円上がったくらいでは動かない借金は、あなたの努力不足のせいではありません。
単純に、桁が違うだけです。
10月の給与明細を見て「増えたはずなのに何も変わっていない」と感じたとしても、それはあなたの働き方が悪いからじゃないんですよ。
借金が返せないのは、契約違反にはなれど、犯罪ではありません。
働けるうちは、生きていけます。
だからまずは、上がった分の一部でいいので、自分と家族の食卓に残してみてください。
そこからでいいと思います。
質問や相談があれば、お問い合わせフォームからどうぞ。
それでは、また。
コタロー
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