コタローです。
8月4日に、国民生活センターが「自宅のリースバックにご注意」という注意喚起を出しました。
リースバックというのは、自宅を業者に売って、そのあとは家賃を払いながら同じ家に住み続ける、という仕組みです。
相談件数は2019年度が24件だったのに対して、2024年度は239件。
5年ほどで、およそ10倍です。
「ずっと住み続けられますよ」と言われて契約したのに、2年ほどで再契約を断られて出ていくことになった。
200万円で売った自宅を買い戻したいと言ったら、1000万円と提示された。
払い続けた家賃の総額が、売ったときに受け取った金額を超えてしまった。
そういう相談が並んでいました。
あのころの僕は、この話を聞く側の人間でした
正直に書きますね。
返済に追われていたころの僕がこの広告を見ていたら、たぶん資料くらいは取り寄せていたと思います。
僕の借金は12社で約4000万円。
ぜいたくをして膨らんだ借金ではありません。
建築の下請けで個人事業をやっていて、業績が落ちて、支払いを守るために借りて、その返済のためにまた借りて、気がついたら毎月の返済が100万円を超えていました。
年商が2000万円ほどの事業で、です。
あの状態の頭にあったのは、たったひとつでした。
今月をどう乗り切るか。
だから僕は、保険を解約しました。
貯金も崩しました。
給付金も、子ども手当も、返済に突っ込みました。
家族の生活費を削って、削って、それでも足りませんでした。
あのころの僕にとって「家を手放さずに、まとまったお金が入る」という話は、たぶん救いに見えたはずなんですよね。
お金を作っても、返済は止まりませんでした
ここが、8年かけてようやくわかったことです。
僕はあれだけお金をかき集めたのに、状況は1ミリもよくなりませんでした。
理由は単純で、入ってくるお金より出ていく返済のほうが大きかったからです。
穴の空いたバケツに、水を注いでいたようなものでした。
保険を解約して数百万円が入ったところで、返済が月に100万円なら、数か月で消えます。
そして数か月あとに残るのは、その保険がもう無い、という事実だけです。
まとまったお金は、返済が止まっていない人の手元では、驚くほど早く消えます。
僕はそれを、保険と貯金と子ども手当で学びました。
そこに自宅が加わるとどうなるか。
まとまったお金は入る。でも返済は止まっていない。
そのうえ、毎月の家賃という新しい支払いが増える。
売ったお金が消えたあとに、家賃だけが残るわけです。
相談件数が10倍になっている理由は、たぶんそのあたりにあるんじゃないかと、僕は勝手に思っています。
売った家は、その日に終わりです
僕の自宅は、差押えを受けて、競売まで行きました。
そのあとの話は長くなるので、ここでは書きません。
ただ、いま僕は同じ家に住んでいます。
あのとき自分からハンコを押して売っていたら、この家はもう無かったはずです。
そこだけは、はっきり言えます。
差押えや競売は、恐ろしい響きの言葉ですが、実際にはものすごく時間がかかります。
書類が届いて、期日が来て、また書類が届いて、という具合に、思っているよりずっと長い。
僕はその時間のあいだに、考えることができました。
でも、自分の意思で売った家は、契約した日に終わりです。
考える時間が、そこで無くなります。
焦っているときに来る話は、だいたい向こうに都合がいい
ここは、ちゃんと線を引いておきます。
リースバックそのものが悪いものだ、と言いたいわけではありません。
僕が言いたいのは、追い詰められている人間のところに来る話は、たいてい向こうにとって都合のいいタイミングで来る、ということです。
僕がそうでした。
正直言って、情弱でした。
窮地にいる人にはゆっくり考える時間が無いことを、向こうはよく知っているんですよね。
だから、今日決めなくていいことは決めないでください。
家を売る話も、車を売る話も、来月でもできます。
でも売ったあとに「やっぱりやめます」は、できません。
家も命も、まだ手元にあります
返済を全部止めたのは、2018年の春のことです。
以来、1円も返していません。
自己破産も任意整理もしていませんし、家族と同じ家で暮らしています。
時効の援用も、少しずつ始めています。
最短で5年と言われる時効も、待っているだけで消えてくれるものではないそうです。
援用という形でこちらから動いて、初めて効くんですね。
だから僕も、まだ途中なんです。
ただ、あのとき「今月をどう乗り切るか」だけで家を手放していたら、いまの僕はいなかったと思います。
借金が返せないのは契約違反にはなれど、犯罪ではありません。
家も、命も、まだ手元にあります。
今日はいったん決めるのをやめて、それから考えても遅くないですよ。
質問や相談があれば、お問い合わせフォームからどうぞ。
それでは、また。
コタロー
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