コタローです。
10月の初めに、ちょっと不思議な2日間がありました。
10月7日に、厚生労働省が8月の賃金の統計を発表しています。
物価の分を差し引いた「実質賃金」が、前の年の同じ月より1.5%増えたそうです。
これで8か月連続のプラス。
1人あたりの給与の総額は、平均で31万1364円だとか。
その2日後の10月9日、今度は総務省が8月の家計調査を発表しました。
2人以上の世帯が1か月に使ったお金は、31万975円。
物価の分を差し引くと、前の年より3.1%のマイナスです。
しかもこちらは、9か月連続で減り続けています。
給料は8か月ずっと増えていて、使うお金は9か月ずっと減っている。
どちらも同じ8月の話なんですよね。
「平均31万円」の中に、僕がいたことはありません
こういうニュースを見るたびに、僕はいつも同じことを考えます。
その31万円って、いったい誰のことなんだろう、と。
僕は大学を出て商社に5年勤めて、27歳で辞めて、実家の建築の仕事に入りました。
そのあと個人事業主として独立して、事業の資金を銀行から借りました。
業績が落ちて、支払いを守るためにまた借りて。
最後はカードのキャッシングやリボにまで手を出して、12社で約4000万円です。
いちばんひどい時期は、毎月の返済が100万円を超えていました。
そのころの年商が2000万円くらいですから、どう計算しても合いません。
平均も何も、僕はグラフの外にいました。
たぶん、いま返済に追われている人の多くもそうだと思います。
統計は「世の中の真ん中」を教えてくれますが、真ん中にいない人には、ほとんど何も教えてくれないんですよね。
収入が増えた月ほど、僕は怖かったです
これは当事者じゃないと、信じてもらえない話かもしれません。
返済に追われていたころ、僕は入金が多い月がいちばんしんどかったです。
うれしいはずじゃないですか。
でも実際に頭に浮かぶのは、これでどこまで延命できるか、という計算だけでした。
入ってきたお金には、もう全部行き先が決まっているんです。
何日にあそこ、何日にここ、と埋まっていて、僕の取り分はゼロ。
しかも、収入が増えるとまずいこともありました。
支払いが遅れて連絡をすると、必ずこう聞かれるんです。
「今月は入金、ありましたよね?」
ありました、と答えた瞬間に、じゃあ払えますね、という話になります。
増えた分は、僕の生活には1円も回ってきません。
回ってくる前に、次の督促の材料になっていました。
だから「賃金が上がった」というニュースを見ても、当時の僕なら何も感じなかったと思います。
上がった分がどこへ行くか、知っていましたから。
みんなが財布を閉じているのは、たぶん正しい
もうひとつの数字、9か月連続で消費が減っているほうです。
専門家の人たちは「消費が弱い」と心配していますが、僕はちょっと違う見方をしています。
これ、単純にみんな怖いだけなんじゃないでしょうか。
給料が増えたと言われても、それが来年も続く保証はどこにもありません。
物価もまだ上がると言われています。
だったら使わずに、手元に置いておこう。
ものすごく、まっとうな判断だと思います。
僕が失敗したのは、まさにここでした。
売上が上がりそうだから、来月には入るはずだから、という前提で支払いの予定を組んでいたんです。
未来の自分を、けっこう気軽に信用していました。
でも、入るはずのお金はたいてい遅れます。
そして遅れた分を埋めるために、また借りることになりました。
「増えるはずの収入」を計算に入れた瞬間から、僕の借金は増え始めた。
いま振り返ると、そう言ってもいいくらいです。
使わなかったお金は、ちゃんと残ります
僕は2018年の春に、すべての返済を止めました。
弁護士に自己破産しかないと言われて、その費用も出せずに固まっていたところに、あるコンサルタントの方から「今すぐ、返すのをやめてください」と言われたのがきっかけです。
そこから8年、1円も返していません。
任意整理も自己破産もしていません。
生活は、拍子抜けするほど普通です。
止めてから、初めて分かったことがあります。
使わなかったお金が、翌月も手元にある。
当たり前のことなんですが、返済に追われていたころの僕には、これが一度もありませんでした。
節約しても、我慢しても、浮いた分はその日のうちに誰かの口座へ消えていましたから。
ちなみに8年目のいま、僕は時効の援用を始めています。
時効は最短で5年と言われていますが、放っておいて勝手に消えるものではないそうです。
自分から援用して、初めて効く。
これも「待っていれば良くなる」の、ちょうど反対側にある話だなと思っています。
ニュースの数字で、自分を採点しなくていい
賃金は8か月連続でプラス。
消費は9か月連続でマイナス。
このニュースから僕が言えることは、ひとつだけです。
世の中の平均が良くなっても、あなたの今月が勝手に良くなることはありません。
でも逆に言えば、平均が悪くなっても、あなたが詰むと決まったわけでもないんですよね。
見るべき数字は、給料の平均でも、使ったお金の平均でもないです。
自分の手元に、いくら残るか。それだけ。
そして今月使わなかったお金は、統計に関係なく、ちゃんとあなたのものになります。
返済を止めている人も、まだ返している最中の人も、そこだけは同じです。
まずは、そこからでいいと思いますよ。
質問や相談があれば、お問い合わせフォームからどうぞ。
それでは、また。
コタロー
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