コタローです。
相続放棄が、過去最多になったそうです。
最高裁が今年の6月にまとめた司法統計によると、2025年の相続放棄は32万4000件。
前年から5%増えて、10年前の18万9000件と比べると7割増だといいます。
相続放棄というのは、亡くなった人の預金みたいなプラスの財産も、借金みたいなマイナスの財産も、まとめて受け継がないという手続きです。
相続があったことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所へ申し立てる必要があるそうです。
増えている理由としてよく挙がっているのは、売れない実家や土地、いわゆる「負動産」を引き取りたくないというものでした。
たしかに、そうなんだと思います。
ただ、この数字を見たとき、僕が最初に考えたのは不動産の話ではありませんでした。
自分が死んだあとの話です。
借金は、僕が死んでも消えてくれません
僕は建築の下請けをやっていた個人事業主で、運転資金の融資から始まって、最終的に12社・約4000万円まで膨らみました。
遊んで作った借金ではありません。
事業のための融資があって、業績が落ちて、支払いを守るための金策で膨らんでいった、という順番です。
2018年の頭、僕は弁護士のところへ行きました。
言われたのは「自己破産しかないですね」。
費用は100万円以上、分割でもいい、と。
その100万円が無かったんです。
破産すらできない、というのがどういう気分か、たぶん経験した人にしか分かりません。
あのころ、保険という言葉が頭をよぎった夜があります。
正直に書きます。
自分がいなくなれば、片づくんじゃないか、と本気で考えました。
でも、それは違ったんですよね。
借金は、本人が死んでも消えません。
残った債務は、そのまま相続人のところへ行きます。
つまり僕が消えたところで、4000万円は妻と子のほうへ移動するだけでした。
あれは解決策ではなく、ただの引き継ぎだったんです。
32万件は、冷たい数字ではありませんでした
その一方で、家族の側には相続放棄という道があります。
プラスもマイナスも継がない、という選択です。
32万件という数字を、僕は冷たいものだとは思いませんでした。
むしろ、少しほっとしたところがあります。
親が残した負担を丸ごと背負わされて、次の世代がまた詰む。
そういう連鎖を止める手段が、ちゃんと用意されていて、しかも年間32万件も使われている。
記事のトーンとしては「実家を捨てる人が増えた」という話でしたが、当事者側から読むと、まったく別の意味に見えました。
逃げ道がある、ということですから。
ただ、ここは正直に書いておきます。
僕の場合、それでも全部は片づきません。
銀行の保証協会付き融資に、妻が連帯保証人として入っているからです。
連帯保証というのは、僕の借金を継ぐ話ではなくて、妻自身が最初から負っている約束なんだそうです。
だから、僕がいなくなっても、相続を放棄しても、そこは残る。
これを知ったとき、僕は本当に固まりました。
死んで終わらせる、という考えが、数字の上でもきれいに否定されたわけです。
細かいところは人によって違うはずなので、そこは専門家に確認してください。
僕が言えるのは、自分の家ではそうだった、というところまでです。
だから僕は、生きて片づけることにしました
2018年の春、僕はすべての返済を止めました。
以来、1円も返していません。
任意整理もしていませんし、自己破産もしていません。
それで8年経ちました。
そして今年、時効の援用というものを始めています。
借金の時効は最短で5年と言われていますが、5年経ったら勝手に消えるものではないそうなんですね。
こちらから援用して、はじめて効く。
黙って待っているだけでは、何も起きません。
つまり、生きていないと使えない道なんです。
相続放棄も、時効も、残された側や本人が自分から動いてはじめて意味を持つ。
この8年で、そこだけは体で分かりました。
あと、これも書いておきたいんですが。
滞納を続けている僕が、いまどうなっているか。
普通に生活しています。
自宅も車も手元にありますし、家族はそろっています。
といっても、その自宅も一度は差押えから競売まで進んでいますから、無傷で来たわけじゃありません。
返せないことは、いなくなる理由になりません
今日いちばん言いたいのは、相続放棄の手続きの話ではないです。
もしあなたが、僕が2018年に立っていたのと同じ場所にいるなら、これだけ持って帰ってください。
自分が消えても、借金は消えません。
動くだけです。
そのかわり、家族の側には継がないという選択が用意されていて、去年だけで32万件以上、それが使われています。
あなたが背負い込んで消えなくても、制度のほうがちゃんと受け止めてくれるんです。
借金が返せないのは、契約違反ではあっても犯罪ではありません。
無いものは、返せない。
それだけの話です。
僕は8年、返していませんが、逮捕もされていませんし、家族もいなくなっていません。
生きてさえいれば、選べます。
どうか、そこだけは手放さないでください。
質問や相談があれば、お問い合わせフォームからどうぞ。
それでは、また。
コタロー
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